2009/8/16 日曜日

宗教のこと

カテゴリー: お国事情, 宗教, 政治, 海外の事情 — admin @ 9:13:19

世界の主な宗教といえば、人口の多い順に…

キリスト教 イスラム教 ヒンズー教 仏教 シーク教 ユダヤ教

…となっています。

しかしこれは単純なものではありません。例えば第10 位に、私たちの「神道」が入っていますが、「私は神道の信者です。」と常に意識している日本人はほとんどいないようにも思われます。

キリスト教とイスラム教は、それぞれにいろんな宗派があって、特にキリスト教はバラエティーに富んでいます。カトリックとプロテスタントでの対立もありますし、本来カトリックだったイギリスでは、16世紀にローマ教皇から離脱してプロテスタントのようになりました。それは政治的な問題からそうなったもので、信者の信仰心から変わったものではないようです。

政治的に宗教をコントロールすると、一般信者の中には反感を覚える人たちも出てきそうなものですから、そこから争いも起きて、流血の事態ともなります。イスラム教でも深刻な宗派対立がありますし、インドではイスラム教とヒンズー教とに分かれて、今のようにパキスタンとバングラデシュがインドから分離しました。未だに宗教対立は続いていて、テロなども発生しています。

イスラエルは、第二次大戦後にアメリカとイギリスなどの後押しで作られた国ですが、イスラム教徒によって支配的だった土地に、ユダヤ教の人たちが入植してきて、それが今でも続いて殺し合い(戦争)が続いています。

私たち日本人は、その点いたって脳天気といいますか、自分が「なに教徒?」 なのかさえ意識していません。子供が生まれれば神社、結婚式は神社かキリスト教会、毎年お盆には仏教のお寺にあるお墓にお参りして家の中には仏壇と神棚が共存しています。クリスマスや聖バレンタインデー、なんてものを喜んで祝って、死んだら仏教徒として戒名をもらいます。

「こんなわけのわからない宗教生活はいやだ!」と思う日本人もほとんどいませんから、要するに日本人は「何でも教徒」なんです。 「何でも教徒」としては、世界での宗教対立や、それによる殺し合いが続いていて終わらない現状に対しては、大いに理解に苦しむことになります。

そんな日本も、かつての大日本帝国では、「国家神道」というものを立てて、天皇陛下を神と仰ぐことを全国民ばかりでなく、台湾人や韓国人や、その他国々で、政治の力で強制してきました。本当に心から天皇陛下を敬愛する人ならいいでしょうけど、「天皇陛下」といわれてもちっともぴんと来ない人々には、非常につらいものだったはずです。欧米の強国と肩を並べてやっていくためには、それも国家として必要な政策だったと見ることもできるのかもしれませんが、政治による宗教の押しつけというのは、必ず大きな対立を招きます。犯罪者(政治や法律と対立する人々)を増やして流血や殺し合いも増えます。

日本はアメリカに戦争で敗れて、皇室や天皇陛下の地位は残してもらうことができましたが、宗教を強制されることはなくなって、平成の現代では明らかに「何でも教」といえる状態になっています。おかげで宗教に端を発する争いごとはなくなりました。

そうして見ると、宗教なんてない方が良いともいえそうです。ジョン・レノンも「 Imagine 」 の中でそう歌っています。宗教なんてなくしてしまえ! とまでは言わなくても、凶器や劇薬の取り扱いに注意が必要なように、宗教の取扱にも細心の注意が必要だといっていいのではないでしょうか。

とはいえ、現実には宗教に熱心な人々が世界中で暮らしています。そんな人々が日本にもやってきます。

何年か前のことでしたが、伊豆市土肥にある「恋人岬」で写真取材をしていたときに、台湾人の団体さんがいて、中に足腰の非常に強そうなおばあさんがいました。「恋人岬」は、けっこう大変な坂を歩かなければならないところなんですが、おばあさんは若い人たちに遅れるでもなく、すたすたと歩いていたので、思わず声を掛けてしまいました。

「足が丈夫ですね。私より速いですね。」

そういうと、おばあさんは私に説教を始めました。

「あんた、南妙法蓮華経を唱えている?」

「え? 唱えていません。」

「毎日必ず、南妙法蓮華経を唱えなさい。そうすれば病気もしないし、健康でいられるから。」

そのおばあさんは、日蓮宗の信者だったんです。台湾からはるばる静岡県を訪れているのも、富士宮の大石寺が目的だったようです。

とりとめもなく書いてしまいましたが、何かのヒントになれば幸いです。

2009/1/20 火曜日

世界の価値観に大きな変化が訪れる年になるでしょうか。

カテゴリー: 海外の事情, 経済危機 — admin @ 9:20:18

きょう2009年1月20日は、アメリカ合衆国大統領の就任式(Inauguration)の日です。

衣食足りて礼節を知るといいます。人種問題にもそれは大きく関係しているようで、白人の、特に裕福ではなく、特に取り柄のない人々にとっては、自分 たちが優れているとすればそれは白人であることであって「有色人種」ではないからだという思想に頼ることは、ひとつの安易な生き方として、まだ根強く残っ ていたりします。これが人種差別主義の本質ではないでしょうか。

かつて大ブレークしたアメリカのテレビドラマ『ルーツ』では、マーロン・ブランド演ずる白人至上主義者が「黒人にある知性は全て白人との混血のおか げだ」という発言をしました。まったくひどい話ですが、黒人には知性がなく、事実IQが低いというような、大いに怪しい統計も、ごく一部の人々に支持され ているようです。

「これこれこういう事実がある、だから自分たちの主張は正しい」という論法はどこにでもありますが、その「事実」は、主張を正当化するために用意さ れたものであることがよくあります。「用意された」というのは、その「事実」を必死に探し求めて、なんとか見つけてきて、その「事実」だけを大きく取り上 げることです。しかもその「事実」は、全ての人に認められる真実とは限らないのです。

きょう、バラク・フセイン・オバマ・ジュニアという名の、アフリカ人の血を引く新しい大統領が就任するわけですが、この事実、つまり黒人がアメリカ大統領となりその4年の任期を務めようとしているという事実には、どこにも異論の差し挟みようがありません。

志のある黒人の先駆者たちが公民権運動に命を捧げてきましたが、オバマ大統領の就任が、その流れの延長にあるのかどうかはよくわかりません。とはい え、黒人が常に味わってきた劣等感を払拭する大きな契機となるのは確かでしょう。ここに大きな価値観の変化が訪れることは間違いないと思われます。

また北米大陸では、アメリカ・カナダ・メキシコの3カ国による通貨統合があるという噂もあります。オバマ大統領が就任式でそのことに触れるのではないかとも噂されています。

アメリカドルという、世界の基軸通貨がその地位を退いて、新たな経済の枠組みに加わるということがもしあるとすれば、それも大変な価値観のシフトとなるのかもしれません。

噂は噂であって、実際どうなるのかわかりませんが、百年に一度といわれる経済危機によって、新しい価値観を作り出さないではいられない状況にあるのは確かでしょう。

2008/11/19 水曜日

大国ならでは。同国人どうしの衝突事件。

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 22:06:37

寒くなりつつあったある秋の夜、富士国際日本語学院に来ていた中国人の就学生にあった話です。中国人どうしだし、年齢も近いからと同室になってもらっていたんです。一人は黒竜江省の男子学生、もう一人は広東省の男子学生でした。

ところがその学生寮で、広東省の学生が怒って包丁を持ち出すという大げんかになってしまいました。

けんかの原因は窓の開け閉めのことでした。黒竜江省の学生が、寒いからといって窓を閉めたがったんですが、広東省の学生は窓を閉め切るのをどうしても許さなかったんです。それで衝突して、あわや流血騒ぎかというところまでいってしまいました。

黒竜江省というのは、中国東北地方、かつては満州でもあった寒いところですね。一方の広東省は、ご存じかと思いますが、南の暑いところです。

私たち日本人一般の常識で考えると、暑いところから来た人は寒がりで、寒いところから来た人の方が寒さに強いんじゃないかと思ってしまいます。です から、暑いところの広東省の学生が窓を閉めたがるのならわかるんですが、実際はその逆、広東省の人は窓を閉め切るのが嫌いなんです。同じように、台湾の人 もそうです。窓を閉め切っていると「空気がなくなる」といって、息苦しく感じるのが暑いところの人々です。

寒いときは窓を閉めれば温かくなるわけですが、暑い国の人々というのは、寒さへの恐れというものを持ち合わせていないんです。一年で一番寒いときで も摂氏10度以上は十分ある広東省や香港、台湾の人々は、窓を開けておいて凍えたという経験がありませんから、一年中窓を開けていても全然平気で生きてい ます。ですから、締め切って息苦しいと感じることはあっても、開いていて凍えそうだと感じた経験がないわけです。

窓を閉めて温かくしたいと考えるのは、暖かい国の人ではなくて、寒い国の人なんですね。

暑い国へ行って、冷房が効きすぎていると感じた経験のある日本人も少なくないと思います。温度調節にはいたって神経質な日本人にとって、冷房の効き すぎというのはつらいものですが、暑い国の人は、冷房は効けば効くほど良いとでも思っているのか、がんがん効かせてくれたりします。それもやはり、寒さへ の恐れというものを知らない人々だからなんですね。

2008/10/23 木曜日

台湾のこと、中国のこと。

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 22:38:46

台湾と中国の、政治などの話です。

台湾で初めて民選総統を選んだのは1996年のことでした。蒋介石の息子の蒋經國の後を継いだ中国国民党(中華民国台湾の政党)の李登輝総統が大改 革をし、次第に民主化されてきたおかげでしたが、1996年の初の総統選挙には、そのまま李登輝総統の再選が果たされたんですね。

李登輝総統は、「中華民国」=中国の政府という建前を重んじるどころか、中国との「統一」なんて考えは捨てて、台湾という、事実上はすでに独立して存在する自分たちのこの国のためにより良い政治をしようと考え、実行しました。

台湾の中華民国政府にそうした動きが始まったのは、実は蒋介石の後を継いだ蒋經國総統だったわけですが、李登輝総統は古くからの国民党の人たちとは 違って、もとから日本時代も生きてきた台湾生まれの台湾人で、京都大学でも学んで日本の軍隊にもいた人ですから、国民党員だとはいっても本気で台湾のため の政治がしたかったわけです。

ところがそんな李登輝政権に反感を持つ国民党員も多く、2000年の総統選挙までに国民党は分裂してしまいました。それで国民党候補と、国民党から 離党した候補、そして独立派=民主進歩党(民進党)候補の三つ巴の総統選挙となり、漁夫の利を得たかっこうで、民進党の陳水扁総統が誕生しました。

以来2008年まで、民進党の陳水扁総統の時代が続いたわけですが、陳水扁政権発足当時の高い支持率も、2004年からの二期目以降は次第に怪しくなってきて、2008年、今年の総統選挙では、再び国民党に政権を明け渡す結果となりました。

現政権は、その国民党の馬英久総統です。ところがこの馬英久政権の支持率も、一年目にいきなり急落して全然人気がありません。

特に悪かったのは、尖閣諸島は台湾の領土だから日本と戦争してもかまわないと、えらく威勢のいいことを言ってしまったことです。台湾の有権者という のは、いくら国民党を支持するとはいっても日本に親近感をもっていることには何ら変わりはありませんから、台湾生まれでもない馬英久総統が反日的なことを うっかり言おうものなら、当然反感を持たれます。

そのへんが韓国と違って、国全体がひとつにまとまらない台湾らしさでもあります。

また、現代の台湾人は、中国のことを「中国」とも呼ぶようになってきています。当たり前に思われるかもしれませんが、これまでは中国を「大陸」と呼 ぶのが普通だったんですね。あっちは大陸で、こっちは台湾。つまり、大陸と台湾はどっちも「中国」であると、そういう考え方が、中華民国の標準とされて、 学校や新聞やテレビでそう呼んできましたから、一般庶民もそれにならってきたところがあります。細かいことだしどうでもいいだろうというような、そんない い加減な気持ちもあったと思います。

李登輝政権以降、台湾の民主化はかなり進んで、今ではすっかり民主国家になりましたから、政治的には「中華人民共和国」とはかなり遠いところにあり ます。もっとも、経済では、中国に百万人からの台湾人が渡っていて進出企業などで働いていますから、言葉も中国語で通じるどうし、あまり国境を意識するこ ともないでしょう。

中国の高度経済成長があってこそ、台湾企業の躍進もあると見ることもできます。ですから、一党独裁の政治体制が悪いからといって、台湾人が中国の政権を批判したりすることはありません。というかできません。

昨年も、台湾独立派として有名な、台湾の大企業経営者が、中国政府の圧力があってのことなのか、考えを改めるという意味の発表をしたことがありました。巨大な中国に逆らったところでなんの得にもなりゃしない。というのが台湾人の普通の考え方になっています。

実際のところ、中国で問題なのは政治のことだけです。人権弾圧をしているとか、チベット人を虐殺しているとか、新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の独立問題とか、政治的な問題はきりがないくらいにいろいろあります。

ハリウッド女優のミア・ファーローなども、北京オリンピックに抗議したりしてましたが、「政治以外はいたって正常!」というのが、現在の中国でしょ う。ひとつ悪けりゃ全部悪い、坊主憎けりゃ袈裟までとばかりに、中国の政治問題をもって中国を全面的に否定するなんていうのは流行りません。

経済成長を続ける中国は、輸出産業が莫大な外貨を稼いでここまでやってきて、今度は賃金が高くなるにつれて、内需による成長が続くだろうと言われています。それと同時に、中国の急成長がしばしば恐怖を持って語られることもあります。

その代表じゃないかと思われるのが「地球温暖化」の話ですね。「話」って、事実じゃないかといわれそうですが、どうやら様々な事情があるようです。

地球が温暖化しているというのは確かなようですが、だからといってその原因が人間かというと、どうもそうではないらしいという、別の説もなかなか有力です。

地球は長い間ずっと、ある程度の周期をもって温かくなったり寒くなったりを繰り返しています。例えば広重の東海道五十三次の「蒲原」は雪景色です が、現代の蒲原で雪景色は望めません。テームズ川も大昔は凍ってスケートをしたそうですが、現代では不可能です。昔に比べて温かくなっているというのは事 実のようですが、それも地球規模では何度も繰り返されてきたことであって、今の温暖化だけが人間のせいというのでは、どうにも説明がつかないらしいです ね。

そこで出てくる別の説というのは、いわゆる陰謀説というやつで、西欧を中心とする政治的な思惑がこんな話を作ったのだという説です。

「思惑」というのは恐らく、これからモータリゼーションを迎える中国に石油を大量消費されたくないということでしょう。温暖化云々以前に空気が汚れ るのは間違いなさそうですから、環境保護の立場からも、中国に何億台もマイカーが溢れる事態は、西欧のエコロジーの立場からは誰も望まないはずです。これ までさんざん空気を汚し、動物を絶滅させてきた西欧文明が今ごろになって他国に意見するのはあまりに身勝手ですから、まだこれから豊かになりたいと頑張っ ている新興国にとってはあんまりな話です。

そんなふうに、中国の経済成長は恐れられていたり、嫌われていたりします。中国製品の不買運動もありますし、あてつけがましいエコロジー運動も、ある意味反中国の政治運動なんですね。(同時に反米運動でもあるようですが。)

中国は政治がだめというようなことを書きましたが、人口爆発を抑制する上では、ノーベル賞をいくつやっても足りないほどの偉大な貢献をしています。いわゆる一人っ子政策ですね。

もちろん、一人っ子政策には様々な問題もあるようですが、中国のような一党独裁の政治体制でなければできない善政、というものも確かにあるといっていいのではないでしょうか。

邱永漢先生もおっしゃっていますが、日本が民主主義だからといって、民主的に選ばれた政府がなにひとつ決められない、決めるにしてもやたらと時間ば かりかかって無駄な税金が使われる、それなら中国のように、たとえ独裁であっても必要なことをぱっと決めて実行できる政府の方がましではないか、とまあ、 そんな見方もできるというわけです。

2008/10/20 月曜日

米英の経済政策のゆくえ

カテゴリー: 海外の事情, 経済危機 — admin @ 10:58:23

イギリスでは、保守党のボリス・ジョンソン=ロンドン市長が、新聞のコラムで「アメリカの大恐慌時代のあとのニューディール政策のような、政府による大きなイニシアチブが必要だ」と述べているそうです。

1929年の10月24日「暗黒の木曜日(Black Thursday)」に始まった世界大恐慌(the Great Depression)では、当初フーヴァー大統領がとった「自由放任主義」によって事態は悪化しましたが、1933年3月に始まったF・ルーズベルト大 統領の「ニューディール政策」という大規模な公共事業による景気刺激策が功を奏して、景気は一気に回復したわけですね。これは、最貧民層である失業者を再 び仕事の場に復帰させようという政策でした。

イギリスでは、世界大恐慌の教訓を生かして、保守党がそうした「労働者優先」の政策を提案しているようですが、興味深いのは、保守党が労働党よりも先にそんな提案をおこなっているところだと、筆者のイギリス人の友人が教えてくれました。

来月に迫ったアメリカの大統領選挙は、バラク・オバマ候補が、すでにほぼ当選確実という状況になっています。

アイルランドのブックメーカー(いろんな賭けを請け合う会社)では、バラク・オバマ候補の当選に賭けた顧客に対し、すでに賞金を払い戻したそうです。先週金曜、17日のニュースです。

オバマ候補の最大のネックとなる「経験不足」については、上院議員もまだ一期目にすぎず、あらゆる点で経験が足りないのではないかと懸念されていま したが、昨夜(19日 日曜日)飛び込んできたニュースでは、現ブッシュ政権で国務長官を務めていたコリン・パウエル氏が、アメリカのテレビ番組でオバマ支持を明確に表明したと いうことです。これで多くの人々から、オバマ候補への「懸念」は払拭されることでしょう。

オバマ候補が泥棒や人殺しでもしない限り、この形勢が逆転されることは到底ありえないというところまで来ています。あとは、世界中から期待が寄せられている経済政策が、オバマ大統領の就任によって実行にうつされるのを待つばかりというところでしょうか。

2008/10/13 月曜日

微笑みの国(2)

カテゴリー: おもてなし, 海外の事情 — admin @ 10:05:24

タイ王国はアジアでは日本と同じように植民地化されたことのない国ですね。そのせいか、外国人観光客に不快感を表す人や政治思想がないようです。反 米運動や反日運動といった動きもタイでは聞きません。もちろん、たくさんの観光客を受け入れて、それによって生計を立てる人口が多い、つまり観光立国で豊 かになってきたという事情もあります。高級ホテルでは英語や日本語を話すスタッフももちろんいるようですが、外国人観光客にここまで人気なのは、決して高 級ホテルのサービスだけではありません。宿泊費の安いいわゆる安宿にもたくさんの外国人が泊まっていますし、タイの庶民が日常利用する飲食店にも外国人が 大勢来ています。

そうした安い施設や店舗では、英語もあまり話せないスタッフだけで経営されていたりしますが、それでも外国人が来てくれるのは、どうやら言葉の問題ではなくて、受け入れる側の気持ちの問題だと思われます。

つまり、外国人が来ることを喜んでいて全く拒まないということです。いくら外国人が来ても、いくら言葉が通じなくても、そうした施設やお店ではちっともうろたえることなくお客様を受け入れているという印象が強いんです。

バンコクに限らず、外国人で溢れている町はあちこちにあるんですが、外国人にお金を落としてもらおうという積極的な姿勢が基本的なところにまずあっ て、その上で、コミュニケーションについても臆するところがありません。外国人観光客から利益を得たいかどうか、まずこの点が一番大事なことなんでしょ う。その上でいろいろなストラテジーが自ずと身についてくるということだと思います。

それが決して行き過ぎにはならないということも大事だと思います。

たとえば、筆者がかつて1か月ほど滞在したことのある北アフリカのモロッコでは、港や駅に大勢のガイド(自称ガイド)が待ちかまえていて、外国人が 降りてくると、我先にと争って「自分をガイドに雇ってくれ」と、何人もの若者たちに取り囲まれます。腕も掴まれたりして、ちょっと勘弁してくれと思ってし まいます。彼らは法外なガイド料を請求してくるわけでもないので、誰か一人と交渉して安くガイドになってもらえば、その後は苦労しないんですが、ガイドな んて要らないという観光客にとっては大変に迷惑なことです。

モロッコ王国は治安も良くて、あらゆる点ですばらしい国ですから、「ガイド」の問題だけを見て行きたくなくなるということはないんですが、タイではそのような問題も悩みもありません。

ただタイでも、土産物を買ってくれとか、花を買ってくれと寄ってくる人もいて、昔は子供からも言い寄られて困ることがあるにはありましたが、それもどこまでなら観光客に不快な思いをさせずにすむかという「一線」を心得てさえいれば、国の印象を悪くすることはないわけです。

日本のスーパーやショッピングセンターでも、試食してくださいと、一生懸命セールスする人はいますし、観光地でも、たとえば静岡市の久能海岸のいちご狩りでも、なんとかうちの駐車場に入ってもらおうと、アルバイトの女性たちが誘導をがんばっています。

お客様がどっと押し寄せていて、そこでの商売に一生懸命になれば当然やるべきことがいろいろあります。でも私たちの日本では、お客様の腕を掴んで 引っ張るなどといった「一線」を越えることはありませんから、その点でも、タイに近い、外国人に居心地の良いビジネスが展開できるのではないかと思ってお ります。

2008/10/11 土曜日

微笑みの国

カテゴリー: おもてなし, 海外の事情 — admin @ 18:16:29

外国人観光客の受け入れで、日本より進んでいる国にタイ王国があります。タイは「微笑みの国」とも呼ばれ、一年中、世界中からたくさんの観光客が押し寄せています。
「雨が降れば水たまりができて魚も捕れる。」といわれるように、食べ物にはまったく不自由のない豊かな国ですね。米も輸出していて、かつて日本で米不足に なったときには、タイからいい匂いのするインディカ米が入ってきて、とてもありがたいことでしたが、「匂いがいやだ」「ぱさぱさしている」といって嫌った 日本人も多かったようです。そんなこというと罰が当たるんじゃないかと心配になったものです。

筆者が初めてタイへ行ったのは1986年の12月でした。以来、少なくとも5~6回は行っています。また来たい。また行きたいと思わせる魅力に溢れているため、筆者のようにタイびいきになる外国人は後を絶ちません。

では何が魅力かと考えてみますと、どうやらサービスうんぬんではないということに気付きます。サービスとか、接客とかなら、日本の方がはるかに優れていますから。では何がタイの魅力なんでしょう。

まず食べ物がおいしい。果物も、料理もおいしいし、ビールもおいしい。

次に、物価が安い。昨今の円高を考えると日本には不安な材料ですが、タイの安い物価も、決して安いままではなくて、ぐんぐん高くなって1986年から比べると3倍以上にはなってきた感じですから、安ければいいというばかりでもないでしょう。

そして、人々の微笑み、といいたいところなんですが、「さあ、微笑みの国を見てやろう!」と思って飛び込むと、なんだ、さほどでもないじゃないかという印象も持たれるかもしれません。

ただ、日本と決定的に違うところがあります。それは、1989年の3月、タイへ向かう飛行機で隣り合わせた、あるイスラエル人女性の言葉が的を射て います。彼女は日本語はできませんが、東京に長く滞在し、英会話教師などで暮らしていたんですが、こんなことを言っていました。

「日本人は目が合ってもすぐそむけてしまう。こっちが微笑んでも微笑み返してくれることが滅多にない。」

ああ、確かにそうだなあと思いました。バンコクの空港に着いて、とても大柄な彼女といっしょにターミナルビルを歩いたんですが、その時、向こうから歩いてきたタイ人女性がこっちを向いて微笑んだんですね。それを見て彼女はこう言いました。

「ほら! これがタイなのよ!」

うーん、確かに。これはなかなか、日本人にはできないかもしれないなと思いました。

どうやら私たちには、微笑みが足りない、というよりも、それ以前に、人なつっこさが決定的に不足しているのではないかと思います。知らない人と知っ てる人とをはっきりと区別し、それが差別的でさえあったりするのが、私たちの国民性かもしれません。もしそうなら直した方がいいんだろうと思います。

ただ、昔の日本人は、もっと誰とでも気安くおしゃべりしたりしていたんじゃないかと思います。若い人は無表情でも、ご年配の人たちは表情が豊かですし、言葉をかければ気安く答えてくれます。明治生まれだった祖母も、どこへ行っても話し相手には困らない様子でした。

台湾でも、間違い電話をかけてきた人とおしゃべりが始まって長電話になったなんていう話があります。そういうところはちょっと、ないですね。もちろ ん、振り込め詐欺に引っかかりそうですから良いばかりではないんでしょうけれど、現代の日本人が失ってしまっている大事なことというのが、確かにひとつあ るようです。

2008/10/4 土曜日

時代が変わるかも、という話。

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 12:28:02

大統領選挙が近づくアメリカ(アメリカ合衆国)では金融危機に見舞われて先の見えない状況が続いています。7000億ドルの公的資金が投入される金融安定化法案は修正を重ねてなんとか可決されたようですが、アメリカ経済の大きな矛盾が解決するわけではなさそうです。

昔のアメリカは、石油は国内で産出されるもので間に合っていたと思うんですが、中東から輸入しないと全然足りなくなっています。なにしろ、世界の石油消費量の4分の1(!)がアメリカで消費されているんですからすごいものですね。

アメリカ経済が今まで成り立ってきたのは、世界中がドルを持っているからだという説もあります。邱永漢先生が常に仰っていることです。アメリカはド ルをいくらでも印刷して、世界中の国々が莫大なドルを持っていますから、ドルが暴落することはアメリカのためならず、世界各国にとって大きな損失になるん だそうです。

一方で、戦争特需というのが今でもアメリカには必要なことのようです。間もなく任期を終えるブッシュ政権は、ビンラディンとその兵士たちというテロ リスト=「敵」と戦うために、イラクのフセイン政権を倒して親米的な政権によってイラクを統治する政策をとりました。結局は空想にすぎなかった大量破壊兵 器を見つけるために世界中に参戦させ、日本や韓国までもが事実上は参戦したのがイラク戦争ですが、戦争をしようというアメリカ世論を決定したのが2001 年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロです。

首謀者とされているビンラディンですが、実はアメリカ中央情報局(CIA)にかくまわれているという説さえあるほどで、実際に彼が911テロの首謀者なのかどうかは、はっきりしていません。ブッシュ政権がそう断定しているだけのことのようです。

ニューヨークの貿易センタービル3棟が跡形もなく消え去ったことも、実は事前から爆発物などが準備されていたという説が、最近また有力になってきた ようです。大型旅客機が衝突しても絶対崩壊しないように設計されていたにも関わらず、プロのベテランパイロットもびっくりの正確さで航空機が突入し、その 燃料だけで鉄まで溶けたり、人が何千人も蒸発したりしたというんですから、なにが本当だかさっぱりわかりません。特に、小さい方の第7ビルが、飛行機の衝 突とは無関係なのに同時に消え去ったのは、明らかに仕掛けられていた爆薬で破壊されたのだといわれています。

真実を究明することが必要なはずなんですが、どうやらアメリカでは、かつての東欧諸国のように強大な警察権力が働いているようです。詳しく調べよう とすると逮捕されるんだということです。政府の公式見解があくまでも正しくて、それに反対するのは犯罪ということになっているんですね。

しかしもしこれがアメリカ政府当局による自作自演だったとして、何千人もの自国民を殺すなんてあり得るのかと思うんですが、イラク戦争ではそれをは るかに超えるアメリカ人兵士が戦死するとわかっていて派兵されているんですから、ニューヨークの数千人なんて、アメリカ政府には大した数字ではないとも考 えられます。考えれば考えるほど恐ろしい話になってきます。

911テロとイラク戦争、そしてこれまでのアメリカの経済については、そんなふうに、矛盾がいっぱい露呈してきています。おそらく今度は民主党のオ バマ氏が大統領になるんでしょうけど、いよいよアメリカも大変な時代になってきましたから、どこまで安定した政治が続くのか、予断を許さないところです。

アメリカ経済が大きな衰退を迎えて、ヨーロッパで大打撃を被っても、日本や中国、韓国など、こちらの方まではさほど大きな影響はないという説もあり ます。できれば新しい時代を作りたいものですね。お金持ちがお金でお金を稼ぐのではなく、勤勉に働いて、アイデアを出して、生かして、もっと豊かになって いけたらいいですね。

2008/9/23 火曜日

親日と反日

カテゴリー: 台湾の近代史, 海外の事情, 韓国の近代史 — admin @ 20:42:52

日本統治の長い時代を経験した韓国と台湾ですが、よく言われることに、台湾は親日的だが韓国は反日感情が強いということがあります。それはどうしてだろうということで、現代の日本でもいろいろと議論があります。

日本の終戦直後には、日本に支配されていただけで日本と戦ってはいない国ということで、いわゆる「第三国」というのが、韓国と台湾だったわけです が、日本が敗戦したと決まってから、日本国内には朝鮮半島からの人々と、台湾から来ていた人々が、急に日本人に対して横暴な態度をとったということがあり ました。

中でも密かに語り継がれているのが、主に朝鮮半島からの人々による日本人や日本の警察官までをも対象としたリンチ事件など、多くの暴動です。違法な 行動であれば正しかったはずはありませんが、それをひとつの重大な現象と見た場合、どうしてそんなことが起きたかと考えれば、そこにはやはり、それ以前か らの日本人に対する不満や憤りが強くあったと見るべきでしょう。

さらに遡って、関東大震災のころからすでに、いわゆる朝鮮人差別という問題がありました。そもそもそのような差別感情がなぜ発生したかという問題を 考えなければならないのですが、それは、韓国を併合して韓国人にも日本人になってもらおうという日本の政策がまずありました。そこには韓国人と日本人との 民族性がとても近かったということがあって、それによって一層際だった異質さというものを日本人は感じてきたはずです。

一方の台湾人は、韓国人に比べたら、民族的にはより遠い感じを受けます。また台湾は併合というよりも植民地でしたから、台湾人は「二等国民」とされて、日本人一般とは身分的にも一定の距離がありました。

それに対して韓国人とはそれほど距離を保たなかったわけです。距離を保たないということが、日本人との平等につながっていれば良かったのでしょうけ れども、実際には違いがかえって際だってしまいます。その結果が、強調されて見える異質感となり、それが差別感情につながった。どうやらそう見てさほど間 違いではないのではないかと思います。

「お前は異質だ」「あなたは異質だ」と常に思われて一緒に暮らせば、誰でも精神的に居場所を失います。家庭に居場所を失えば子供は非行に走ります が、日本支配の国土と、海を渡ってきた日本の地にあって、どちらでも「異質だ」と思われたら、民族全体として、その支配者である日本を恨み、追い出したく なるのは当然です。

私たち日本人というのは、島国のせいもあってか、異文化の異質さを、違って当たり前とは考えられないところがあります。それははっきりと日本人の国民性として、欠点だと見なければなりません。

例えば筆者の周囲でも、近隣の国から日本に移り住んできて、一般の日本人から、「あなたは日本人のようだ。」と言われていやな思いをしたという人がいます。

日本人が外国人に向かって「あなたは日本人のようだ。」とか「あなたは他の日本人よりもよっぽど日本人らしい。」という時、それは日本人の側からす れば明らかに褒め言葉なのですが、そう言われた外国人にしてみれば褒め言葉でも何でもありません。外国の人が日本人から、「日本人らしいということこそ が、人間にとって最も素晴らしいことなのだ。」などと言われたら、自分の国の文化や国民性を否定されたことになるからです。

ところが私たち日本人はそんなことには気づかず、どこまでも善意に満ちて、「あなたは日本人らしい。」と言って、韓国人や台湾人を「褒める」わけです。韓国人や台湾人の側からしたら、時にはそれが侮辱となり、差別となってしまいます。

日本的なヒューマニズム(人道主義)をもって、そのような善意を大いに発揮してきたのが私たち日本人だとすれば、私たちは善意によって、重い罪を犯してきたことにもなります。

韓国人が反日的であるということは、以上に見たような原因が昔からあったということと、さらに戦後の国策として日本を敵と見なして一致団結してきた面もあるということ。その両方の原因によって、韓国はなかなか親日的にはなってくれないということではないでしょうか。

台湾は、先に述べましたように、もとから日本人と一定の距離を保ってきたことが大きいと思います。距離を保っていれば、互いに違って当たり前ともな りますから異質さがさほど際だって感じられません。親しい友人関係でも、同居していたりすると互いにいやになりやすいものですが、一定の距離があれば互い の違いを違いとして認め合うことも比較的容易になります。

2008/9/19 金曜日

食の安全と中国の経済発展

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 23:12:47

有害物質メラミンが混入した粉ミルクで乳幼児が腎臓結石などにかかっているという中国の事件。乳幼児が四人死亡、患者は数千人という被害の拡大を受けて、関係者から多くの逮捕者も出ています。

メタミドホスの混入で日中の外交問題にもなった毒餃子事件が記憶に新しいところ、日本でも、また中国かという反応が見られます。中国には、まだ消費者の権利というものが曖昧で、食品メーカーばかりか、農産物などでも、強すぎる拝金主義による犠牲者が後を絶たないわけです。

とはいえ、また中国かと、中国の現状をただ嫌悪してしまうのも考えものかもしれません。

安価な工業用ヒ素を触媒として作った化合物を乳児用粉ミルクに添加していたところ、それを飲んだ13,000人もの乳児がヒ素中毒になり、死者130人という大惨事が起きた事件もありました。

死にはしなくても、一生を重い障害を負って生きている被害者も多いこの事件は、海を渡った中国の話ではなく、私たちの暮らしているこの日本で起きた事件です。

事件の原因となったのは、森永乳業の「森永ドライミルク」という製品で、ヒ素が使われたのは昭和30年前後のことでした。

森永乳業は当初、まったくの責任逃れに終始していましたから、これが金儲け主義による人命軽視でなくて何なのでしょう。また当時の日本人にも、消費者の権利などといった意識はほとんどありませんでした。

日本人が長い年月をかけてそうした意識を持ち、世界最高レベルの安全を手に入れるまでには、多くの人命による犠牲もあったわけです。中国は後発の工 業国として、目を見張る経済成長を続けていますが、それが現代、21世紀だからといって、工業技術と同じように、日本が経験し蓄積してきた安全への知恵を 学び採り入れるというのも簡単ではないのだろうと思います。

コンピューターだって作れるのだから、安全な食品だって作れて当然であると、これだけ中国産の食品に囲まれて暮らすようになりますと、そう思いたくもなるんですが、それはあくまでも、持てる側の論理でしかないのだろうと思います。

有人宇宙飛行もやったという中国、オリンピックも一応成功させた中国ですが、それでも中国が経済的に躍進してきたのはごく最近のことですから、ある 程度は温かい目で見つつ、四川大地震のときのように協力できるところは大いに協力しようという姿勢が、先進国には求められているようです。

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