2008/10/23 木曜日

台湾のこと、中国のこと。

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 22:38:46

台湾と中国の、政治などの話です。

台湾で初めて民選総統を選んだのは1996年のことでした。蒋介石の息子の蒋經國の後を継いだ中国国民党(中華民国台湾の政党)の李登輝総統が大改 革をし、次第に民主化されてきたおかげでしたが、1996年の初の総統選挙には、そのまま李登輝総統の再選が果たされたんですね。

李登輝総統は、「中華民国」=中国の政府という建前を重んじるどころか、中国との「統一」なんて考えは捨てて、台湾という、事実上はすでに独立して存在する自分たちのこの国のためにより良い政治をしようと考え、実行しました。

台湾の中華民国政府にそうした動きが始まったのは、実は蒋介石の後を継いだ蒋經國総統だったわけですが、李登輝総統は古くからの国民党の人たちとは 違って、もとから日本時代も生きてきた台湾生まれの台湾人で、京都大学でも学んで日本の軍隊にもいた人ですから、国民党員だとはいっても本気で台湾のため の政治がしたかったわけです。

ところがそんな李登輝政権に反感を持つ国民党員も多く、2000年の総統選挙までに国民党は分裂してしまいました。それで国民党候補と、国民党から 離党した候補、そして独立派=民主進歩党(民進党)候補の三つ巴の総統選挙となり、漁夫の利を得たかっこうで、民進党の陳水扁総統が誕生しました。

以来2008年まで、民進党の陳水扁総統の時代が続いたわけですが、陳水扁政権発足当時の高い支持率も、2004年からの二期目以降は次第に怪しくなってきて、2008年、今年の総統選挙では、再び国民党に政権を明け渡す結果となりました。

現政権は、その国民党の馬英久総統です。ところがこの馬英久政権の支持率も、一年目にいきなり急落して全然人気がありません。

特に悪かったのは、尖閣諸島は台湾の領土だから日本と戦争してもかまわないと、えらく威勢のいいことを言ってしまったことです。台湾の有権者という のは、いくら国民党を支持するとはいっても日本に親近感をもっていることには何ら変わりはありませんから、台湾生まれでもない馬英久総統が反日的なことを うっかり言おうものなら、当然反感を持たれます。

そのへんが韓国と違って、国全体がひとつにまとまらない台湾らしさでもあります。

また、現代の台湾人は、中国のことを「中国」とも呼ぶようになってきています。当たり前に思われるかもしれませんが、これまでは中国を「大陸」と呼 ぶのが普通だったんですね。あっちは大陸で、こっちは台湾。つまり、大陸と台湾はどっちも「中国」であると、そういう考え方が、中華民国の標準とされて、 学校や新聞やテレビでそう呼んできましたから、一般庶民もそれにならってきたところがあります。細かいことだしどうでもいいだろうというような、そんない い加減な気持ちもあったと思います。

李登輝政権以降、台湾の民主化はかなり進んで、今ではすっかり民主国家になりましたから、政治的には「中華人民共和国」とはかなり遠いところにあり ます。もっとも、経済では、中国に百万人からの台湾人が渡っていて進出企業などで働いていますから、言葉も中国語で通じるどうし、あまり国境を意識するこ ともないでしょう。

中国の高度経済成長があってこそ、台湾企業の躍進もあると見ることもできます。ですから、一党独裁の政治体制が悪いからといって、台湾人が中国の政権を批判したりすることはありません。というかできません。

昨年も、台湾独立派として有名な、台湾の大企業経営者が、中国政府の圧力があってのことなのか、考えを改めるという意味の発表をしたことがありました。巨大な中国に逆らったところでなんの得にもなりゃしない。というのが台湾人の普通の考え方になっています。

実際のところ、中国で問題なのは政治のことだけです。人権弾圧をしているとか、チベット人を虐殺しているとか、新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の独立問題とか、政治的な問題はきりがないくらいにいろいろあります。

ハリウッド女優のミア・ファーローなども、北京オリンピックに抗議したりしてましたが、「政治以外はいたって正常!」というのが、現在の中国でしょ う。ひとつ悪けりゃ全部悪い、坊主憎けりゃ袈裟までとばかりに、中国の政治問題をもって中国を全面的に否定するなんていうのは流行りません。

経済成長を続ける中国は、輸出産業が莫大な外貨を稼いでここまでやってきて、今度は賃金が高くなるにつれて、内需による成長が続くだろうと言われています。それと同時に、中国の急成長がしばしば恐怖を持って語られることもあります。

その代表じゃないかと思われるのが「地球温暖化」の話ですね。「話」って、事実じゃないかといわれそうですが、どうやら様々な事情があるようです。

地球が温暖化しているというのは確かなようですが、だからといってその原因が人間かというと、どうもそうではないらしいという、別の説もなかなか有力です。

地球は長い間ずっと、ある程度の周期をもって温かくなったり寒くなったりを繰り返しています。例えば広重の東海道五十三次の「蒲原」は雪景色です が、現代の蒲原で雪景色は望めません。テームズ川も大昔は凍ってスケートをしたそうですが、現代では不可能です。昔に比べて温かくなっているというのは事 実のようですが、それも地球規模では何度も繰り返されてきたことであって、今の温暖化だけが人間のせいというのでは、どうにも説明がつかないらしいです ね。

そこで出てくる別の説というのは、いわゆる陰謀説というやつで、西欧を中心とする政治的な思惑がこんな話を作ったのだという説です。

「思惑」というのは恐らく、これからモータリゼーションを迎える中国に石油を大量消費されたくないということでしょう。温暖化云々以前に空気が汚れ るのは間違いなさそうですから、環境保護の立場からも、中国に何億台もマイカーが溢れる事態は、西欧のエコロジーの立場からは誰も望まないはずです。これ までさんざん空気を汚し、動物を絶滅させてきた西欧文明が今ごろになって他国に意見するのはあまりに身勝手ですから、まだこれから豊かになりたいと頑張っ ている新興国にとってはあんまりな話です。

そんなふうに、中国の経済成長は恐れられていたり、嫌われていたりします。中国製品の不買運動もありますし、あてつけがましいエコロジー運動も、ある意味反中国の政治運動なんですね。(同時に反米運動でもあるようですが。)

中国は政治がだめというようなことを書きましたが、人口爆発を抑制する上では、ノーベル賞をいくつやっても足りないほどの偉大な貢献をしています。いわゆる一人っ子政策ですね。

もちろん、一人っ子政策には様々な問題もあるようですが、中国のような一党独裁の政治体制でなければできない善政、というものも確かにあるといっていいのではないでしょうか。

邱永漢先生もおっしゃっていますが、日本が民主主義だからといって、民主的に選ばれた政府がなにひとつ決められない、決めるにしてもやたらと時間ば かりかかって無駄な税金が使われる、それなら中国のように、たとえ独裁であっても必要なことをぱっと決めて実行できる政府の方がましではないか、とまあ、 そんな見方もできるというわけです。

2008/10/20 月曜日

近代史のはなし 日本と韓国(2)

カテゴリー: 韓国の近代史 — admin @ 13:59:50

日本には一方的で独善的な「人道主義」があるということを「近代史のはなし 日本と韓国(1)」や、「親日と反日」のところで書かせていただきました。簡単にまとめますと・・・

「日本人になりたい」とは思っていない外国人(韓国人や台湾人)に対して、「日本人になるということは良いことなのだ」と、説得したり、強要したり するということがかつてありました。日本の敗戦によってそうしたことがなくなったというなら良いのですが、現代でも、「あなたは日本人より日本人らしい、 すばらしい人だ。」という褒め言葉が存在します。褒めるための単なる「言葉」ではなくて、本気でそう思っている日本人がいるんです。そんなことを言われた ら、自分の国や文化を否定された気持ちになるのは当然です。これが日本式の、悪しきヒューマニズム=人道主義です。

・・・というような内容でした。

台湾人や韓国人は、このような、悪しきヒューマニズムの犠牲者だったと見ることができると思います。

もちろんそれは、台湾、韓国だけにはとどまりませんでした。日本が進出したアジア諸国で、程度の差こそあれ、様々な形で「善意の押し売り」がおこなわれてきたわけです。

バリ島に観光で行ったとき、現地のご年配の男性が、こちらを日本人と見ると「お猿の駕籠屋」を歌って聞かせてくれたことがあります。それはインドネシアが日本に支配された時代に子供だったその男性が、学校で教えられたものだったのでしょう。

当時のインドネシアを伝える古い映画フィルムには、インドネシア人の車掌が、日本人にだけお辞儀をして、インドネシア人の客にはお辞儀をしていないという場面が出てきました。(NHK「映像の世紀」)

特にお辞儀をする習慣がないというのがインドネシアの当たり前であったのなら、相手が日本人だからといって、わざわざお辞儀をするというのは気が利きすぎているわけですが、そんな光景があったというのは他でもなく、支配した日本人がそれを要求したためでしょう。

日本はアジアを開放するために、インドネシアを支配したオランダを蹴散らして、インドネシア人のためのインドネシア建国に尽力するはずでしたが、実際には、ファシズムのナチスドイツと同盟を結んでしまいました。同じ立場に立ったわけです。

「ソ連も仲間に加わるんだから」と、当時の松岡外相がヒトラーに騙されたため(その後ドイツは日本の期待を裏切ってソ連と開戦)だと見ることもできますが、全部ヒトラーのせいにするわけにもいきません。

相互理解、相互尊重という、互いに対等な外交政策がそう簡単でないのは確かですが、だからといって、こちらの価値観を一方的に押しつける外交が正しいはずはありません。そんなことをして互いに仲良く暮らせるわけがないからです。

日本と韓国との関係も、そうした日本の一方的な押しつけによって始まっています。もちろんそれにも議論はあって、あのまま韓国をほうっておいたら、 ソ連が南下してきて韓国はソ連に支配されていただろう、そうなれば、日本はアメリカとソ連という二大国と戦火を交えることになっただろうといった議論です ね。

だからといって、韓国の主権を尊重せずに「併合」をしてしまったのは無理があります。ナチスドイツの政権下で開催されたベルリンオリンピックでは、 韓国人の選手が活躍してメダルを取りましたが、彼らは日の丸をつけて戦いました。それをもって「日本は強い。」というのはおかしな話です。強かったのは韓 国人なんです。韓国は、日本よりずっと人口も少ないにもかかわらず、現代でもスポーツでの活躍が目立ちます。負けず嫌いの精神が、どうやら日本人よりも優 れているようだと認めないわけにはいきません。

そんな誇り高き韓国人を、全部まとめて日の丸でくるんでしまおうとしたのが、大きな取り返しのつかない過ちだったのだと思います。

禍根ははっきりと残りました。韓国が、歴史学の手法によらず、正史で歴史教育をしていることも、その根本には「禍根」があるわけです。そしてこの対立問題を解決するには、現代を生きる私たちが、新しい時代を作っていくしかないのだと思います。

そのために必要なことは、馬鹿の一つ覚えみたいな「謝罪外交」ではないと思います。必要なのは、議論すべきことと、まだ今はすべきでないこととを しっかりと見極めることでしょう。仮に謝罪するにしても、何がどう間違っていたのかを、はっきりと見極めなければなりません。それは韓国政府の要求通りに なにもかも認めるということでもありません。

韓国の国家体制が、正史をもとにまとまっているのであれば、歴史認識をひとつにするのは極めて困難なことです。韓国のいう通りの歴史認識をすれば、日本の学術研究としての歴史学は崩壊してしまうからですね。

じゃあどうしたらいいのかという話になりますが、日本と韓国、日本人と韓国人は、民間レベルや経済交流の様々な場面で、互いに利害を一致させ、協力 し合って生きています。親友関係を築いている人たちも大勢いますし、婚姻関係も大変な数になります。このような事実があることを前にして、歴史認識が違う のになぜなのだと言ったところで、なんの役にも立たないんですね。

あるのはただ、誰にでも十分可能な友好関係なんですね。

米英の経済政策のゆくえ

カテゴリー: 海外の事情, 経済危機 — admin @ 10:58:23

イギリスでは、保守党のボリス・ジョンソン=ロンドン市長が、新聞のコラムで「アメリカの大恐慌時代のあとのニューディール政策のような、政府による大きなイニシアチブが必要だ」と述べているそうです。

1929年の10月24日「暗黒の木曜日(Black Thursday)」に始まった世界大恐慌(the Great Depression)では、当初フーヴァー大統領がとった「自由放任主義」によって事態は悪化しましたが、1933年3月に始まったF・ルーズベルト大 統領の「ニューディール政策」という大規模な公共事業による景気刺激策が功を奏して、景気は一気に回復したわけですね。これは、最貧民層である失業者を再 び仕事の場に復帰させようという政策でした。

イギリスでは、世界大恐慌の教訓を生かして、保守党がそうした「労働者優先」の政策を提案しているようですが、興味深いのは、保守党が労働党よりも先にそんな提案をおこなっているところだと、筆者のイギリス人の友人が教えてくれました。

来月に迫ったアメリカの大統領選挙は、バラク・オバマ候補が、すでにほぼ当選確実という状況になっています。

アイルランドのブックメーカー(いろんな賭けを請け合う会社)では、バラク・オバマ候補の当選に賭けた顧客に対し、すでに賞金を払い戻したそうです。先週金曜、17日のニュースです。

オバマ候補の最大のネックとなる「経験不足」については、上院議員もまだ一期目にすぎず、あらゆる点で経験が足りないのではないかと懸念されていま したが、昨夜(19日 日曜日)飛び込んできたニュースでは、現ブッシュ政権で国務長官を務めていたコリン・パウエル氏が、アメリカのテレビ番組でオバマ支持を明確に表明したと いうことです。これで多くの人々から、オバマ候補への「懸念」は払拭されることでしょう。

オバマ候補が泥棒や人殺しでもしない限り、この形勢が逆転されることは到底ありえないというところまで来ています。あとは、世界中から期待が寄せられている経済政策が、オバマ大統領の就任によって実行にうつされるのを待つばかりというところでしょうか。

2008/10/13 月曜日

微笑みの国(2)

カテゴリー: おもてなし, 海外の事情 — admin @ 10:05:24

タイ王国はアジアでは日本と同じように植民地化されたことのない国ですね。そのせいか、外国人観光客に不快感を表す人や政治思想がないようです。反 米運動や反日運動といった動きもタイでは聞きません。もちろん、たくさんの観光客を受け入れて、それによって生計を立てる人口が多い、つまり観光立国で豊 かになってきたという事情もあります。高級ホテルでは英語や日本語を話すスタッフももちろんいるようですが、外国人観光客にここまで人気なのは、決して高 級ホテルのサービスだけではありません。宿泊費の安いいわゆる安宿にもたくさんの外国人が泊まっていますし、タイの庶民が日常利用する飲食店にも外国人が 大勢来ています。

そうした安い施設や店舗では、英語もあまり話せないスタッフだけで経営されていたりしますが、それでも外国人が来てくれるのは、どうやら言葉の問題ではなくて、受け入れる側の気持ちの問題だと思われます。

つまり、外国人が来ることを喜んでいて全く拒まないということです。いくら外国人が来ても、いくら言葉が通じなくても、そうした施設やお店ではちっともうろたえることなくお客様を受け入れているという印象が強いんです。

バンコクに限らず、外国人で溢れている町はあちこちにあるんですが、外国人にお金を落としてもらおうという積極的な姿勢が基本的なところにまずあっ て、その上で、コミュニケーションについても臆するところがありません。外国人観光客から利益を得たいかどうか、まずこの点が一番大事なことなんでしょ う。その上でいろいろなストラテジーが自ずと身についてくるということだと思います。

それが決して行き過ぎにはならないということも大事だと思います。

たとえば、筆者がかつて1か月ほど滞在したことのある北アフリカのモロッコでは、港や駅に大勢のガイド(自称ガイド)が待ちかまえていて、外国人が 降りてくると、我先にと争って「自分をガイドに雇ってくれ」と、何人もの若者たちに取り囲まれます。腕も掴まれたりして、ちょっと勘弁してくれと思ってし まいます。彼らは法外なガイド料を請求してくるわけでもないので、誰か一人と交渉して安くガイドになってもらえば、その後は苦労しないんですが、ガイドな んて要らないという観光客にとっては大変に迷惑なことです。

モロッコ王国は治安も良くて、あらゆる点ですばらしい国ですから、「ガイド」の問題だけを見て行きたくなくなるということはないんですが、タイではそのような問題も悩みもありません。

ただタイでも、土産物を買ってくれとか、花を買ってくれと寄ってくる人もいて、昔は子供からも言い寄られて困ることがあるにはありましたが、それもどこまでなら観光客に不快な思いをさせずにすむかという「一線」を心得てさえいれば、国の印象を悪くすることはないわけです。

日本のスーパーやショッピングセンターでも、試食してくださいと、一生懸命セールスする人はいますし、観光地でも、たとえば静岡市の久能海岸のいちご狩りでも、なんとかうちの駐車場に入ってもらおうと、アルバイトの女性たちが誘導をがんばっています。

お客様がどっと押し寄せていて、そこでの商売に一生懸命になれば当然やるべきことがいろいろあります。でも私たちの日本では、お客様の腕を掴んで 引っ張るなどといった「一線」を越えることはありませんから、その点でも、タイに近い、外国人に居心地の良いビジネスが展開できるのではないかと思ってお ります。

2008/10/11 土曜日

微笑みの国

カテゴリー: おもてなし, 海外の事情 — admin @ 18:16:29

外国人観光客の受け入れで、日本より進んでいる国にタイ王国があります。タイは「微笑みの国」とも呼ばれ、一年中、世界中からたくさんの観光客が押し寄せています。
「雨が降れば水たまりができて魚も捕れる。」といわれるように、食べ物にはまったく不自由のない豊かな国ですね。米も輸出していて、かつて日本で米不足に なったときには、タイからいい匂いのするインディカ米が入ってきて、とてもありがたいことでしたが、「匂いがいやだ」「ぱさぱさしている」といって嫌った 日本人も多かったようです。そんなこというと罰が当たるんじゃないかと心配になったものです。

筆者が初めてタイへ行ったのは1986年の12月でした。以来、少なくとも5~6回は行っています。また来たい。また行きたいと思わせる魅力に溢れているため、筆者のようにタイびいきになる外国人は後を絶ちません。

では何が魅力かと考えてみますと、どうやらサービスうんぬんではないということに気付きます。サービスとか、接客とかなら、日本の方がはるかに優れていますから。では何がタイの魅力なんでしょう。

まず食べ物がおいしい。果物も、料理もおいしいし、ビールもおいしい。

次に、物価が安い。昨今の円高を考えると日本には不安な材料ですが、タイの安い物価も、決して安いままではなくて、ぐんぐん高くなって1986年から比べると3倍以上にはなってきた感じですから、安ければいいというばかりでもないでしょう。

そして、人々の微笑み、といいたいところなんですが、「さあ、微笑みの国を見てやろう!」と思って飛び込むと、なんだ、さほどでもないじゃないかという印象も持たれるかもしれません。

ただ、日本と決定的に違うところがあります。それは、1989年の3月、タイへ向かう飛行機で隣り合わせた、あるイスラエル人女性の言葉が的を射て います。彼女は日本語はできませんが、東京に長く滞在し、英会話教師などで暮らしていたんですが、こんなことを言っていました。

「日本人は目が合ってもすぐそむけてしまう。こっちが微笑んでも微笑み返してくれることが滅多にない。」

ああ、確かにそうだなあと思いました。バンコクの空港に着いて、とても大柄な彼女といっしょにターミナルビルを歩いたんですが、その時、向こうから歩いてきたタイ人女性がこっちを向いて微笑んだんですね。それを見て彼女はこう言いました。

「ほら! これがタイなのよ!」

うーん、確かに。これはなかなか、日本人にはできないかもしれないなと思いました。

どうやら私たちには、微笑みが足りない、というよりも、それ以前に、人なつっこさが決定的に不足しているのではないかと思います。知らない人と知っ てる人とをはっきりと区別し、それが差別的でさえあったりするのが、私たちの国民性かもしれません。もしそうなら直した方がいいんだろうと思います。

ただ、昔の日本人は、もっと誰とでも気安くおしゃべりしたりしていたんじゃないかと思います。若い人は無表情でも、ご年配の人たちは表情が豊かですし、言葉をかければ気安く答えてくれます。明治生まれだった祖母も、どこへ行っても話し相手には困らない様子でした。

台湾でも、間違い電話をかけてきた人とおしゃべりが始まって長電話になったなんていう話があります。そういうところはちょっと、ないですね。もちろ ん、振り込め詐欺に引っかかりそうですから良いばかりではないんでしょうけれど、現代の日本人が失ってしまっている大事なことというのが、確かにひとつあ るようです。

2008/10/4 土曜日

旅の思い出を作る人

カテゴリー: おもてなし — admin @ 12:28:57

筆者は学生時代の夏休みを利用して、自転車持参で西欧4カ国を自転車で一人旅したことがあります。

ロンドンのヒースロー空港に降り立ち、自転車を組み立てて、イングランドとウェールズを走って、イギリスからオランダへはフェリーで渡ったのです が、イギリスの港で英語のアナウンスが聞き取れなかったのが原因で、オランダの港に着いてみたら自分の自転車がありませんでした。

オランダの港の警部さんは、英語がよくわからない厄介者として、最初はとてもいやな顔をしていましたが、ここでなんとか自転車を取り戻せなければせっかくの旅行ができなくなってしまいますから、必死でお願いしました。

「オランダに来るのは、子供のころからの夢だったんです。」

たどたどしい英語で警部さんにそう言いました。すると警部さんの表情は一変して、ちょっと涙ぐんでさえ見えたんですね。それから警部さんはてきぱき とイギリスに電話してくれて、自転車を明日の便でこっちに運んでもらえるように手配してくれました。さらに、泊まるところはあるかと心配してくれて、まだ 決まっていないというと、すぐにあちこち電話してくれて、安い宿の面倒まで見てくれました。

宿は港から歩いて近くでしたが、警部さん自ら歩いて連れて行ってくれたのにも感激しました。

オランダは、筆者にとって、最高の国です。オランダへ行ってみたいという人がいれば、すばらしい国だから是非行くべきだとすすめます。でももしあの時、警部さんに冷たくされたままだったら、オランダなんて行かない方がいいよと言っていたかもしれません。

日本を訪れる観光客の人たちは、日本でどんな思い出を作るだろうと考えますと、きっと他のどの国よりも、日本が好きになってくれるんじゃないかと思えます。

ドイツ人の友人が昔、夫婦で日本を自転車で旅行したんですが、その時遠州の方で、農家の人からメロンを2つもらったというんですね。ただ道ばたで休 憩していたら、おじさんがメロンを抱えてやってきたんだそうです。彼らは嬉しそうに笑いながら話してくれましたが、そのおじさん、英語は全然しゃべらず、 ただやたらにこにこしていたそうです。暑いときにもらったメロンが嬉しかったのはもちろんですが、素朴なおじさんの明るい笑顔が、彼らにはなによりもあり がたかったようです。

そんなすばらしい思い出があるかと思えば、筆者自身にはつらい思い出もあります。

まだ中国語を習い始めのころでしたが、知り合いの台湾人女性を頼んで、中国語会話練習の相手をしてもらった時のことです。お昼ご飯をごちそうしよう と思って、静岡市中心部にあるうどん屋さんに入りました。 彼女はとても物静かな人で、話し方もちょっとぼそぼそと喋るので聞き取りにくいんですが、そんな彼女とうどんを食べ終わって、二言三言話していたら、店主 と思われる男が血相を変えてやって来まして、「食べ終わったらすぐ出ていけ!」というんです。

いったい何のことやらさっぱりわからず、私たちはただ驚くばかりでしたが、どうやら彼は、自分の店でわからない言語を使って雑談されるのが許せな かったらしいです。いったい全体、そんなに怒るようなことなのか? こっちは客だし、かなり静かな話し声だったはずではないか? そんなことを考えても言ってもしょうがないので、さっさと店を出ましたが、これがいわゆる差別というやつです。

あれから二十年ぐらい経ちますから、今どきそんな変な人はいないでしょうけれども、あの時は、ひどい思いをさせられた台湾人の彼女に対する恥ずかしい気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

もちろん、それでも日本は良い国です。というか、他の多くの国よりはずっとましではないかと思っています。ともかく、外国人の観光客を迎える側とし ましては、お客様の思い出を作る側にもいるわけですから、なんとしても、いやな思い出だけは作らないようにしたいものです。きっとそれは、難しいことでは ないはずですね。

時代が変わるかも、という話。

カテゴリー: 海外の事情 — admin @ 12:28:02

大統領選挙が近づくアメリカ(アメリカ合衆国)では金融危機に見舞われて先の見えない状況が続いています。7000億ドルの公的資金が投入される金融安定化法案は修正を重ねてなんとか可決されたようですが、アメリカ経済の大きな矛盾が解決するわけではなさそうです。

昔のアメリカは、石油は国内で産出されるもので間に合っていたと思うんですが、中東から輸入しないと全然足りなくなっています。なにしろ、世界の石油消費量の4分の1(!)がアメリカで消費されているんですからすごいものですね。

アメリカ経済が今まで成り立ってきたのは、世界中がドルを持っているからだという説もあります。邱永漢先生が常に仰っていることです。アメリカはド ルをいくらでも印刷して、世界中の国々が莫大なドルを持っていますから、ドルが暴落することはアメリカのためならず、世界各国にとって大きな損失になるん だそうです。

一方で、戦争特需というのが今でもアメリカには必要なことのようです。間もなく任期を終えるブッシュ政権は、ビンラディンとその兵士たちというテロ リスト=「敵」と戦うために、イラクのフセイン政権を倒して親米的な政権によってイラクを統治する政策をとりました。結局は空想にすぎなかった大量破壊兵 器を見つけるために世界中に参戦させ、日本や韓国までもが事実上は参戦したのがイラク戦争ですが、戦争をしようというアメリカ世論を決定したのが2001 年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロです。

首謀者とされているビンラディンですが、実はアメリカ中央情報局(CIA)にかくまわれているという説さえあるほどで、実際に彼が911テロの首謀者なのかどうかは、はっきりしていません。ブッシュ政権がそう断定しているだけのことのようです。

ニューヨークの貿易センタービル3棟が跡形もなく消え去ったことも、実は事前から爆発物などが準備されていたという説が、最近また有力になってきた ようです。大型旅客機が衝突しても絶対崩壊しないように設計されていたにも関わらず、プロのベテランパイロットもびっくりの正確さで航空機が突入し、その 燃料だけで鉄まで溶けたり、人が何千人も蒸発したりしたというんですから、なにが本当だかさっぱりわかりません。特に、小さい方の第7ビルが、飛行機の衝 突とは無関係なのに同時に消え去ったのは、明らかに仕掛けられていた爆薬で破壊されたのだといわれています。

真実を究明することが必要なはずなんですが、どうやらアメリカでは、かつての東欧諸国のように強大な警察権力が働いているようです。詳しく調べよう とすると逮捕されるんだということです。政府の公式見解があくまでも正しくて、それに反対するのは犯罪ということになっているんですね。

しかしもしこれがアメリカ政府当局による自作自演だったとして、何千人もの自国民を殺すなんてあり得るのかと思うんですが、イラク戦争ではそれをは るかに超えるアメリカ人兵士が戦死するとわかっていて派兵されているんですから、ニューヨークの数千人なんて、アメリカ政府には大した数字ではないとも考 えられます。考えれば考えるほど恐ろしい話になってきます。

911テロとイラク戦争、そしてこれまでのアメリカの経済については、そんなふうに、矛盾がいっぱい露呈してきています。おそらく今度は民主党のオ バマ氏が大統領になるんでしょうけど、いよいよアメリカも大変な時代になってきましたから、どこまで安定した政治が続くのか、予断を許さないところです。

アメリカ経済が大きな衰退を迎えて、ヨーロッパで大打撃を被っても、日本や中国、韓国など、こちらの方まではさほど大きな影響はないという説もあり ます。できれば新しい時代を作りたいものですね。お金持ちがお金でお金を稼ぐのではなく、勤勉に働いて、アイデアを出して、生かして、もっと豊かになって いけたらいいですね。

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